近 況 紹 介

「がんばろう、東北!」
 
被災地石巻で コンサート企画

    北原かな子さん                      
島口和子さん 
 花くらぶのメンバーで青森中央短期大学教授
北原かな子さんが陸奥新報の日曜随想の中で
かつてかな子さんが暮らしていた石巻で
復興を祈願して野外コンサートを開催しようと
奔走している友人 遠藤信和さんを紹介しています。
たくさんの方に野外コンサートに来てほしいという願いを受け
花くらぶのHPでも紹介します。
八月の野外コンサートに全国からたくさんの方々が
集ってくれますように。
遠藤信和さんのアドレスは、440.442@gmail.com
遠藤さんが経営する石巻のホール、N's SQUAREは、http://nssquare.blog10.fc2.com/です。

以下、4月10日、陸奥新報の日曜随想に掲載された北原さんの文章です。
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がんばろう、東北!
 被災地石巻でのコンサート企画

 25年前、私は石巻で社会人としてのスタートを切った。未熟で
失敗ばかりだった新人の音楽教師を、みな温かく包んでくれた。
語りきれない思い出がたくさんある町、それが石巻だった。

 3月11日。停電の闇の中で、バッテリーの残量を気にしながら、
必死に携帯で情報を探した。大好きだった石巻が大変なことにな
っている。気はあせっても、状況がつかめない。教え子たち、同僚
の先生たち、そしてお世話になったたくさんの人たちの顔が次々に浮かぶ。
ようやく電気が通ってテレビを見たとき、目に飛び込んできたのは、
信じがたい光景だった。かつて自分が住んでいたところ
まで、津波が襲っていた。よもや津波がくるとは思わない内陸であ
り、どれほどの破壊力であったかが、身にしみた。
それから、一週間。誰ともまったく連絡がとれない状況に気をもんだ。

 つらいニュースが続く中で、昨日、一本の電話をもらった。
石巻西高出身の遠藤信和君。石巻市内で調律師をしながら、
「N's-SQUARE」というコンサートホールを経営している。
誠実な人柄にファンも多く、一流のミュージシャンがよく演奏していた。
彼のホールも被災したが、でもとにかく家族はみな無事だと。
そして彼は、今、石巻で企画しているという次のようなコンサートについて
話してくれた。

 例年、石巻では8月に川開きという夏祭りが開催される。その川
開きのときに、大掛かりな復興祈願の野外コンサートをしたい。
入場は原則無料。そして演奏者も、ボランティアで参加してくれる
音楽家だけにお願いする。その企画に新聞社など、後援してくれる
スポンサーを募って、資金を得る。震災で仕事を失った人たちにわず
かでも収入となるように、コンサートのために働く人を石巻市内か
ら募集する。そして、いくらかでも収益があれば、義援金として
復興に役立てたい。

 これがきっかけでまた全国から石巻に人が来てくれれば嬉しいし、
現状も知ってもらえると言って、彼は次のように続けた。
「今、がんばろう、日本って言ってくれるけど、やっぱり俺らにとっては、
がんばろう、東北なのね。こういうコンサート企画して、実現するかっていえば、
まだわかんないけど、やっぱり自分たちから元気になることって、必要なんだよ」。

 できることがあればなんでも協力すると言い、電話を切った。
生きていてくれと祈った頃からまだ一月。言葉の端々から、復興への
力強いエネルギーが伝わる。すでに、彼のホールでかつて演奏した
音楽家たちからも、参加希望のオファーが来ているという。
東北人の底力を感じると共に、日本の次代を担う若手が着実に育っている
ことも実感した。他ならぬ被災地でのコンサート企画。
心からのエールを送りたい。







 NHK文化センター弘前で
       
      「 明治洋楽事始in津軽開催 」


    北原かな子さん                      
北原 かな子さん 
花くらぶメンバーの北原かな子さん
6月11日
NHK文化センター弘前教室で
とても面白いコンサートを開きます。

まず
かな子さん自体が
とても不思議でおもしろい。
なぜって
肩書きは青森中央短期大学教授で
教えているのは
近代女性史だったりするのですが
歴史研究家ときどきピアニストなのです。
猫ときどきトラ とはスケールが違う^^。

今回のコンサートでは
弘前オペラ会員
井上よし子さんと一緒に「明治洋楽事始in津軽」を披露します。

タイトルはちょっと堅いのですが
内容がユニークです。

「教育勅語」の歌って知っていますか?
明治時代に作られたもので
小学校で歌ったという年配の方もいらっしゃるかも。
「憲法発布」の歌もあるのだそう。
そして君が代も3曲あったのだそうです。
現在歌われているあの君が代と
賛美歌の君が代なども歌います。

蛍の光の4番はかな〜りキナ臭い歌詞で
こんな「蛍の光」ってあり?だそうです。
明治時代の歌詞がまた難しい。
歌詞カードを見せられても
絶対読めないよ!とかな子さん。

明治の文章の難しさは
大学のゼミでとった福沢諭吉の
文明論ノ概略で痛いほど味わいました。
ほとんど漢文なのですから1行内容を理解するのに
1時間以上かかりました。

というわけで
ちょっと珍しい曲のオンパレード。
ぜひコンサートを聴いて
感想を教えていただければ。

明治洋楽事始in津軽は
6月11日午前10時半〜正午まで。

NHK文化センター弘前教室で開催。
申し込みは
NHK文化センター弘前教室(0172−35−1800)へ。
一般の人は参加費1890円です。

NHK弘前文化センター
面白い講座がたくさんあって
魅力的です!





「日本語と英語で読む津軽学入門」


kanako-1.jpg 「私的に素敵 津軽の女性たち」のメンバーのひとり
 北原かな子さんと友人で
 弘前大学交際交流センター准教授
 サワダ・ハンナ・ジョイさんが編集・翻訳をした
 「日本語と英語で読む津軽学入門」が
 第二回弘前大学出版会賞を受賞しました。
 
 同書の紹介を北原さんから依頼され、
 その原稿が7月1日付陸奥新報に
 掲載となりました。
 
 掲載された文章を転載します。

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 日本語と英語で読む「津軽学入門」が第二回弘前大学出版会賞を受賞した。この本の注目すべき点は、津軽の歴史、文化、民俗、自然など多彩な分野にわたり、スペシャリストが簡潔に書き上げたものを、日本語と英語の両方で読むことができるというユニークさと贅沢感だ。

 同書は弘前大学で学ぶ留学生が地域文化を理解する為のテキストとして作られた。留学生になった気分でページを開いてみる。弘前藩と弘前城、文明開化、津軽弁、津軽の作家たち、津軽三味線、津軽塗、藍染、こぎんざしなどが紹介され、謎に充ちた不思議の国津軽がきらきらと両手を広げて迎えてくれる。地元の人も、知っているようで実は知らない津軽の歴史や文化がコンパクトにまとめられ、煌めいている。

 津軽のイタコ、オシラサマまで紹介されているのだから、留学生はかなりの津軽通になれるだろう。留学生がオシラサマというのはね、なんて話す姿を想像するだけで楽しい。

 左のページには日本語、右には英語というように、対訳の形で表されており、英語と日本語がぴたり、ほぼ同じ長さの文章で表現されている。それは驚きに値する。端的な日本語の文章と適切な翻訳があってこそ可能であり、二つの言語が呼吸を合わせるように仲良く並んでいる。

 翻訳、編集を手掛けたのは、弘前大学国際交流センター准教授のハンナ・ジョイ・サワダさんと北原かな子さん(青森中央短期大学教授)だ。二人は「津軽は豊かな自然と文化の歴史に恵まれたところ。この地で学ぶ留学生に津軽の魅力を理解してもらい、素晴らしい場所で学んでいるという誇りを持ってもらえたらうれしい」と話す。

 どの章も魅力的だが、特に興味をひかれたのは、小笠原功さんが書いた津軽弁の考察だ。音韻の変化を丁寧に追う文章の英訳は、たやすいことではなかっただろう。津軽弁の「わぇはァ」が標準日本語で「あらまァ」となり、英語では「Oh!」と訳されるのはなんとも愉快。この本が津軽でしか生まれ得なかったものであることは、この一点を見ても明かだ。

 この本のもう一つの特徴は、すべての漢字に振り仮名が付けられている点だろう。漢字の読めない留学生にとって、振り仮名は大切な存在だ。全部の漢字に振り仮名を付けるというのは根気のいる作業だったに違いないが、読み手の姿を思う、あたたかい心使いを感じる。

 最初に、留学生のために書かれた本と紹介したが、県外から転居してきた人、英語を学ぶ中学生や高校生、大人にとっても魅力的で役に立つ一冊といっていい。私はじっくりと読み、津軽の豊かさをしみじみと再確認した。

 グローバルな現代、海外で外国人から尋ねられるのは日本のことであり、出身地津軽のことだ。英語できちんと津軽の歴史や伝統文化について説明できるだろうか。そんな時にも頼りになる、津軽学入門。傍らに置き、読みものとして楽しんでほしい。

                                   (弘前ペンクラブ会員 清水典子)


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