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       私的 に 素敵 な オススメ   温泉      onsen.jpg


平成16年 6月26日掲載


   平賀町 南田温泉ホテル

        アップルランド


     熱の湯で身体ポカポカ
  
    友人とのんびり楽しむ 
 

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 ぽかりと浮いたリンゴがかわいい萍果の湯


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   開放感あふれる満天の湯露天風呂


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   明るいロビーでコーヒータイムを


  友達と一緒に少し遠出をし、「日帰り温泉」したい人にお薦めの湯が南田温泉アップルランド。

 ぽかり、ぽかりと赤いリンゴが湯に浮く「萍果(びょうか)の湯」に漬かって、ゆるゆるとした時間を楽しんでみてはどうだろう。
 
 「つるつるになる美人の湯」とファンが□をそろえる南田温泉は、ナトリウム塩化物泉で保温効果が高く、いわゆる「熱の湯」。

 入浴後、なかなか冷めないので冷え性の女性向きだ。「何といっても湯量が豊富。お湯は自信を持ってお薦めできます」と話すおかみの葛西恵子さん。

 昨年完成した「満天の湯」に入浴した。
解放感がある露天風呂と明るい雰囲気の竹炭の湯。循環式の温泉が多い中、源泉掛け流しがうれしい。常に新鮮な湯が浴槽からあふれ出る。

 青空を眺めながら、庭に面した明るいロビーでコーヒーを味わうのもいい。
静かな時間を過ごしたい人は平日の昼間がお薦め。

※南田温泉アップルランド(0172-44-3711)。



平成
16731日掲載

 


   十和田湖町 猿倉温泉


    山の一軒宿でのんびり
         
あふれる緑ごちそうに

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 白濁した湯が流れる露天風呂


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 離れはバンガロー風の造り


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 落ち着いた雰囲気の内湯

 猿倉温泉は夏霧の中、ハ甲田連峰に抱かれるようにひっそりと姿を現した。
 この温泉は江戸時代に開かれたという。津軽から吹く風と県南から吹く風がここでぶつかり、霧が生まれる。

 山の一軒宿は下界の暑さがうそのよう。あふれる木々の緑、宿の前を流れる川のせせらぎ、吹き渡る風のにおい。清涼感に満ちている。
 「ここでは静かな時間を楽しんでほしい」と話すのは宿のあるじ小笠原良一さん。言葉通り、この温泉のごちそうはありままの自然とゆったりとした時の流れだ。

 春はミズバショウの群生に始まり、豊かな山菜、夏はホタル、秋は燃えるような紅葉へと季節の風景が訪れる人を魅了する。

 そして温泉。内風呂とそれに続く露天風呂に加え、女性専用に露天風呂がもう一つ設けられている。
 泉質は硫化水素硫黄泉。青みを帯びて白濁した湯はほんのりと硫黄のにおいがし、いかにも温泉に漬かっているという満足感がある。

 昼は山のブナ林を眺めながら、夜はホタルとカジカガエルの鳴き声を堪能しながら、たっぷりとした掛け流しの湯を楽しみたい。

 時聞が取れるならば宿泊を。本館は昔ながらの和室、新館はおしゃれな洋室、離れは気ままなバンガロー風と好みに応じて選ぶことができる。
 一戸建て風の離れは一階が居間のスペースとサウナ、家族露天風呂、二階がベッドルームとなっており、別荘のような雰囲気だ。

 猿倉温泉を起点に登山道が延び、五つの山に登ることができる。「ここは三つの沢から成っている。沢はアイヌ語で倉。三の倉からサルクラになったと言われています」と教えてくれたのは春から秋まで、猿倉温泉で働く佐野萬一さん(77)。
 猿倉温泉は十月末に閉じられ、自宅のある東京に帰る。「雪が解けるのを東京で待ちます。いつも春が待ち遠しい」と佐野さんは話す。

 日帰り温泉は大人五百円。猿倉にわき出る南ハ甲田の水は冷たくておいしい。お風呂上がりにどうぞ。 温泉に漬かってゆるゆるとした時間を楽しむ。原稿の締め切りをちょっとだけ忘れた夏の一日だった。

 ※猿倉温泉(0176-23-2030)。

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平成
161225日掲載

           


黒石市 大川原温泉


   緩やかな時間流れる
 
       いい湯っことアート

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 つるりとした泉質の大川原温泉


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 静かな時間が流れる「アートスペース K」


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 「私が一番癒されているかも」
 と笑う工藤さん


 黒石市の紅葉の名所中野のもみじ山を右手に眺めながら、中野川に添って車を走らせると大川原温泉の立て札が見えてくる。右に折れてしばらく走ると、「いい湯っこ」と人気の大川原温泉にたどり善く。

 清潔な館内と豊かな湯量。透明な湯はつるりとした肌ざわり。温かな湯に漬かると、寒さでこわぱっていた体がゆるやかに開いていく。

 朝六時半ともなれば、仕事前に湯浴みをする人たちが姿を見せ始める。夜は夜で仕事帰りにひと風呂浴びようと、午後八時ごろまで近在の人でにぎわう、地域の温泉だ。入湯料二百円で一日の疲れとストレスがゆるゆるほぐれていく幸せ。

 体の疲れを癒やした後は、自然に囲まれた「アートスぺース K」をのぞいてみてほしい。

 国道102号を十和田湖に向かって走り、厚田内小、中学校の看板を左折し、山道を登り切ると沖浦青荷沢の高原に出る。夏場は大根、ニンジン、ホウレンソウなどの野菜畑が続く開拓地。ここに十一月二十日にオープンしたのが「アートスペース K」。喫茶コーナーのあるおしゃれなギャラリーだ。

 オーナーは工藤重正さん、百合子さんご夫妻。 「自然に囲まれた風景の中で何かを始めたい」。青荷沢の広々とした風景が気に入り、古い民家を購入。ギャラリーとして生かすことに決めた。


 「景色を見ながらコーヒーを飲み、リフレッシュして帰る。そんな空間にしたかった」と百合子さん。 玄関で靴を脱ぎ、ダイニングチェアに腰を下ろす。八甲田に続く山並みは雪模様。
ギャラリーは二ヵ月ごとに作品を入れ替える。 「冬は誰も来ないかしら」と笑う百合子さん。 「お客様が来ない時は本を読んで、外を眺めて。私が一番癒やされているのかも」。

 百合子さんは山□県の生まれ。瀬戸内海の島で生まれ育った。縁あって黒石市に来て二十三年。温暖な地で育った百合子さんはゆったりのんびり気質。「外から来た人間だからここの良さが分かるのかな」。静かな時間を存分に楽しんでいる様子だ。

 取材中にみぞれは雪に変わった。白銀の世界に青い夕闇が下りてきた。友人の客間でくつろいでいるような穏やかな気持ちになってくる。 弘前から小一時間。「黒石ゆったりタイム」を味わいに。プチ旅行気分を楽しむことができそうだ。

※「アートスペースK」は火曜定休。午前十時から午後五時開場。
  問い合わせは工藤さん(0172-55-2368)。

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平成16131日掲載

 

  五所川原市
     津軽富士見ランドホテル


奥津軽の冬を味わう
   つるつる肌美人の湯

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 遠くに岩木山を眺めながら入る
 露天風呂は格別の味


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 入浴と食事のセット(1500円)は
 女性に人気


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 ティールームの窓の外には
 奥津軽の風景が広がる


 奥津軽という言葉の響きは魅力的だ。雪交じりの風が地をはい、果てしない雪原が続く「米マイロード」。奥津軽の雰囲気を求めて五所川原に向かって車を走らせた。

 どこまでが道でどこからが雪野原なのか、目を凝らしても区別邸つかない。砂漠のように、ただただ広がる雪原に圧倒される。風が巻き起こす一瞬の地吹雪。鎮まると、何事もなかったように再び穏やかな雪野原が顔を出す。

 薄日が差し込み、険しい表情から親しけな顔に変わる津軽平野。その果てしのなさに心が解放される。男性的だった岩木山が柔らかな三角に形を変えると、そこはもう五所川原。狼野長根自然公園へと向かう坂から右手に入ったところに「津軽富士見ランドホテル」はある。

 豊かなお湯のわく湯殿では、作家太宰治が「いちょうの葉をさかさまにしたような」と形容した優しい岩木山と向き合うことができる。

 女将(おかみ)の佳子さんは東京生まれ。亡き夫で同ホテルの社長だった豊栄さんの夢を引き継ぎ、十年前に女将となった。豊栄さんがほれ込んだ岩木山と豊富な湯量がホテルと佳子さんを支えている。

 ティールームの窓の外には大釈迦へと続く山並みが広がり、快晴の日には遠く権現崎まで眺めることができる。夜になると五所川原の街のともしびがまたたき、ロマンチックな雰囲気へと変わる。

 雪の岩木山を眺めながら入る温泉はまた格別だ。毎分一・五dという豊かな湯量は県下随一だという。ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉、掛け流しの湯は柔らかな感触で、肌をつるつるにする美人の湯と女性に人気。

 入浴は三百円、入浴と大広間での休憩は午前九時から午後四時まで、何度入浴しても六百円とお得。ゆったりと温泉につかった後、食事を楽しむ入浴セット(税込み千五百円)がお薦めだ。

 厳冬の奥津軽。窓を打つ吹雪を眺めながらの湯浴みはとてもぜいたく。
美人の湯を味わいに五所川原まで足を延ばしてみるのもまた一興だ。

 ※「津軽富士見ランドホテル(0173-29-3260)。

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平成
16925日掲載

 



       岩木町 湯段温泉



 透明で豊かな湯量
   おらかさが魅力

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 豊かなお湯が流れる浴槽


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 『草を刈る娘」の舞台となった草原


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 ひなびた風情が魅力の湯段温泉

 秋の岩木高原は明るく伸びやかだ。弘前方面から眺める流麗な姿と一味違う重厚な岩木山。南斜面には広々とした草原が広がっている。秋になると、かつて草原は馬を飼う農家の草刈り場としてにぎわった。

 弘前市出身の作家石坂洋次郎の小説「草を刈る娘」は秋の岩木高原を舞台にしている。一九六一年には吉永小百合主演で映画化され、津軽の若者の恋模様がおおらかに描かれた。洋次郎の小説には、岩木山麓(ろく)の温泉が幾度か登場する。

 「鈍い電燈の光りが、粗末な浴場の中を照らしていた。ところどころ開け放した窓から、湯気が絶えず流れていくので、浴室は涼しいほどだった。湧き壺からひいた二本の樋が、豊かな量の湯滝を浴槽に落としているので、そのおかけで、建物の粗末なのがうち消されているようだった。」

 草を刈る娘の主人公モヨ子がそで子婆さん、ため子婆さんとともに、草刈りの疲れを癒やしに行くのが嶽温泉だ。

 かつて嶽温泉には共同の湯があった。昭和四〇年代までは、現在公衆トイレになっている辺りにあったとお年寄りから聞いた。明治時代にはもっと山の上に共同の湯があったという。「山の夜は今と追って真っ暗。ヘビや虫など自然がいっぱいのお湯だった」と当時を知る人は話す。

 岩木山麓で、ひなびた温泉の風情を残しているのが湯段温泉だ。湯段にも昭和四〇年代まで共同浴場があった。現在はばかりとした空き地となっている。それを取り囲むように、数軒の旅館が建つ。
 そのうちの一軒を訪ね、お湯に漬かった。注ぎ□から透明なお湯が流れ込み、体を沈めるとお湯が豊かにあふれていく。「誰もいないからゆっくり漬かって」と湯守りのおばあさん。

 柔らかな秋の日差しを感じながら、静かな時間を楽しむ。窓の外には赤トンボの群れ。洋次郎も満喫しただろう岩木山麓の温泉場の雰囲気を味わいに、小説をポケットに訪ねてみてはどうだろう。

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平成
151227日掲載

 


    秋田県大館市 日景温泉


 ひなびた風情漂う 

     雪深き山あいの秘湯 

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 ひんやりとした山の気が漂う露天風呂


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 山が迫る日景温泉の湯屋


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 湯煙に満ちた内風呂

 国道から脇道に入り、葉を落した桜並木の続く細い道を進む。もう少し早い季節であれば、きっと鮮やかな紅葉が迎えてくれたのだろう。

 車を降りた途端、ほのかな硫黄のにおいに包まれた。山あいの温泉宿の夕暮れは早い。「日本秘湯を守る会」と書かれたちょうちんに明かりがともる宿の玄関。

 一八九四年(明治二十六年)に開湯したここ日景温泉は、当時「東北の草津」とも呼ばれ、湯治客でにぎわった。今もアトピーなどの皮膚炎に薬効があるといわれ、北海道、青森などからの湯治客も多い。

 秋田杉に囲まれた一軒宿はひなびた風情で、夕暮れとともに静寂が落ちてくる。雪囲いが施された長い廊下を渡って、湯殿へ。暮れなずむ空を眺めながら入るお風呂は、心を解放してくれる。

 湯煙ごしに相客と言葉を交わす。「どちらからですか?」 「能代から」 「県境にはいい温泉が多いですね」。温泉は四二度。あふれる湯量の豊富さ。耳を澄ませば、すぐそぱを流れる大湯沢川の瀬音が聞こえてくる。

 敷地面積五千坪、建坪二千坪の広々とした温泉宿の四代目が日景厚子さん。父親から宿を継いで十年になるという。

 長い歴史を持つ日景温泉には犬養毅、高橋是清などの著名人も訪れたことがあり、地元の旦那(だんな)衆の社交場でもあったという。戦後は傷痍帰還兵がたくさん療養にやってきたらしい。

 「昔ながらの山の湯を守るのは大変です」と厚子さんは話してくれた。100%源泉、掛け流しの湯は、尽きることのない湯量があってこそだろう。いつまでも変わらずに、と温泉好きは思う。
 日景温泉の冬は長い。極寒期には二b近く雪が積もる。だが雪の宿もまた一興。雪を眺め、凍てついた気を味わう露天風呂は、山あいの秘湯ならではだろう。一人で、または心知れた人と訪れたい山の場である。

 ※目景温泉(0186-51-2011)

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平成17年 3月 5日掲載

 


  大鰐町
    「日帰り温泉 鰐の湯」



 明るく開放的な空間
   ほんのりリゾート気分

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 露天風呂「うぐいすの湯」は石を多用した造り


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 大鰐特産アブ石を使った暖炉が人気の
 明るいロビー


 

 東国を行脚していた円智上人が発見したと伝えられている大鰐温泉。平川沿いに湯宿が立ち並び、昔ながらの温泉街のひなびた味わいが魅力。

 昨年十二月二十四日、歴史ある温泉場に日帰り温泉「鰐の湯」が誕生した。「大鰐温泉においでよ」というメッセージを込めた大鰐町地域交流センター「鰐come」の湯として人気を集めている。

 大鰐温泉駅前に完成した「鰐come」は広々と明るい雰囲気が持ち味だ。館内には、近隣地域の名産が並ぶお土産マーナー、大鰐温泉もやしがたっぷり盛られたラーメンや滋味に満ちた韃靼(だったん)ソバがメニューに並ぶ食事処「花りんご」、ミシンやちゃぶ台、おひつやエンズコなど昭和の懐かしい品々が展示された「ほのぼのルーム」、パソコンを無料で使える 「ITルーム」など多彩なスペースが広がっている。

    そして温泉。鰐の湯には「うぐいすの湯」と「つつじの湯」と二つの浴場かおり、日替わりで男女が入れ代わる。
 天井が高く清潔な浴室。高温、中温と二つの浴槽があり、熱めが好きな私は高温の浴槽へ。大きな窓から外の雪を眺めながら、縁に腰掛けて半身浴するのもよし。

 石を用いた岩風呂「うぐいす」、木を多用した「つつじ」と趣の異なる露天風呂も用意されている。さんさんとした日差しの中での入浴もいいが、お薦めは山々に夕闇の迫る火ともしごろ。青く暮れゆく空を眺めながらたっぷりとした湯に漬かってほしい。露天風呂にはランプがともされ、温泉ならではの風情が漂う。

 塩化物・硫酸塩泉の泉質は穏やかな肌触り。高温サウナと東北初という低温アルパインサウナもあり、汗をかきながらゆるゆるとした時間を過ごすのもいい。

 お風呂上がりには大きな石の暖炉が設けられた明るい休憩コーナーでひと休みを。太い梁(はり)が張り巡らされた開放的な空間は広々と気持ちがいい。

 ビールやソフトドリンク、小腹がすいた人にはおでん、たこ焼きなども用意されている。あじゃら出にはライトアップされた大鰐スキー揚がくっきりと浮き上がり、ほんのりリソート気分。

 足を伸ばしてゆったりしたい人は多目的ホール「あじゃら」へ。テイクアウトした軽食をつまみながら家族や友人とおしゃべりを。トレーニングルームで汗を流した後に温泉というのも健康的だ。一日ゆっくり過ごして五百円。自由に気ままに楽しんでほしい。

 ※営業時間午前9時から午後9時。年中無休。鰐Come(0172-49-1126)。

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